KAWANISHI Satoshi
みかんハウスの場所には、もともと古い平屋の賃貸住宅が3 棟建っていました。
それらが老朽化して空き家になると、
「一括借り上げのアパートを新築しませんか?」
という内容の電話が複数の大手業者から頻繁にかかるようになりました。
外見や内装は綺麗だけど、いわゆる普通のアパートです。ビジネスとして考えれば、決して悪い話ではないのでしょうが、提案されたアパートが自分には全く魅力的に思えませんでした。顧客目線で見たとき、そのアパートに住みたいとは全く思えなかったのです。
9 年間一人暮らしの経験をして、正直寂しい思いをすることは少なくありませんでした。海外生活でシェアハウスも経験して、国籍も文化も違う他人であっても、お互いを尊重していれば、家族のように豊かな人間関係を築いて暮らすことができることを知りました。
「 自分が本当に住みたいと思える賃貸住宅を作ろう」
みかんハウスにはそんな思いが詰まっています。
その思いに共感してくださる皆さんの応援でできています。
そして、未完のハウスを一緒につくりあげていく皆さんとの出会いを心待ちにしています。
平成26年3月24日
川西諭
HAYASHI Miki
一昨年、縁あって小さな町工場&住宅をシェアハウスに改修するお手伝いをさせていただきました。その経験を買われた(!?)のか、N9.5さんからお声掛けをいただき、オーナーの川西さんともお会いしてみかんハウスプロジェクトが始動したのは、2013年3月のことでした。
私は、日頃から地域の木を活かした家づくりに力をいれています。そもそも、家はその土地の材料で、その土地の気候に合うように工夫されながらつくられてきました。昔からの家づくりの良さを今に活かし、住む人の健康にも、そして環境にもよい家をつくりたいと思っています。
また、暮らしは一つの家で完結するものではありません。どんなに家に工夫を凝らしても、近隣や地域が魅力的でなければ、心地よい暮らしは実現できません。地域との繋がりが薄れている今、暮らしを積極的にシェアしようとする「シェアハウス」に大きな可能性を感じています。
「みかんハウス」では、それぞれの居室は、多世代、様々な住まい方に応じられるよう、多様性をもたせています。また、ゆったりしたキッチンがある、中庭に面する住人のためのコモンと、前庭に面した地域と繋がるコモンという2つのコモンルームが、家から街へ、空間のグラデーションをつくりながら、まち暮らしを応援します。
そして、いつもの一戸建ての家づくりと同じように、自然の光や風をたっぷり室内に取り込むよう窓を配置し、構造材は国産の無垢材、床は素足になりたくなるような厚い杉板を使っています。ココロもカラダも自然体になって、「みかんハウス」で豊かな暮らしが育まれればうれしく思います。
(Studio PRANA 林 美樹)