2014年10月16日
みかんハウスも竣工まで秒読み段階に入りました。
設計を担当したStudio PRANAの林 美樹が、みかんハウスの建物の特徴を4回シリーズでお話しいたします。
まず、みかんハウスは木造2階建てのちょっと大きな「家」です。
世の中の集合住宅で木造は少なくなりました。木造のアパートというと、「木賃」と呼ばれ、良く言えば懐かしい、悪く言えばちょっと貧しいイメージがつきまといます。しかし、一戸建ての住宅は、現在ももちろん工法はいろいろあっても木造が主流です。やはり日本の風土にあった住まいとしては、木の家が一番なのではないでしょうか?
私の事務所では、その中でも伝統的な職人さんの技術を活かした木組みの家の設計をしています。最近では、健康や環境への影響やその優れた性能から見直されつつある、土壁の家も多く手がけています。
今回、みかんハウスでも、できるだけ木の良さを活かしたいと思いました。
しかしながら、特定の家族が暮らす一戸建ての住宅と違って、シェアハウスは建築基準法という法律上は「寄宿舎」として建てる必要があり、様々な法的な制約の中で、木造2階建て準耐火建築物という仕様を選択しました。
そのため、柱や梁のような構造部分を、燃えにくいように石膏ボードで包む必要がありました。
しかし、一部は柱や梁を大きくし、燃えても構造的に持ちこたえるようにすることで、現しにしました。折角木の家として建てるのに、それが隠れてしまうというのは、少し残念ではありませんか?
構造材は、国産の杉を使っています。しかも関東近県の山から切り出したものです。建築に使うために植林された針葉樹を適切に使うことは、山や森、そして水の循環といった面でも、環境を維持して行く上で大切なことなのです。
無垢の杉の床は、高温多湿な日本の夏でも、表面はさらりとしています。また熱が比較的伝わりにくい性質があるため、冬は冷たく感じません。
そして何よりも、優しい質感が、インテリアを柔らかく包んでくれます。キッチンやカウンターなども、出来るだけ木質のもので製作しています。
さあ、みかんハウスで皆さんも「木の家」の心地よさをぜひとも体感してみてください。