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設計ノート

洗顔はどこで?多様な暮らしを受け止めるには。

洗顔はどこで?多様な暮らしを受け止めるには。

シェアハウスとひとことで言っても、なにをシェアするのか??は暮らしによって異なります。大座敷にごろ寝だって大丈夫というシェアのツワモノもいれば、興味はあるけれど心配事がまず浮かぶひとだっています。いや、きっと心配事が浮かぶ人のほうが多いかもしれませんね。

みかんハウスでは、それぞれの暮らしの多様さを受け止められる建物づくりを考えてきました。それは、個室のありかたにもあらわれています。
たとえば、小さな洗面台のある個室が一部にあります。なぜ、洗面台だけ用意したのでしょうか?それは「顔はどこで洗うの??」という疑問から生まれました。
朝起きて、ぼーっとした顔で人に会いたくない…。寝起きの顔を見られるのが、何より恥ずかしい、という人もいると思います。
シェアハウスはひとつ屋根の下で暮らしているのだから、恋人にもみせないような姿もみえてしまうものだったりします。それも良さともいえますが、個室に洗面台があれば解決するのであれば、そんな部屋があってもよいのでは?と考えました。
人によって異なる「これだけは守りたい一線」。無限には応えられませんし、限られた部屋数だけれど、あなたらしい暮らしを選んでもらえるよう考えました。

こっそり部屋に帰ることもできる「廊下」はだいじです。

こっそり部屋に帰ることもできる「廊下」はだいじです。

家族の顔がみえる家をつくるためには、必ずリビングを通って個室にいくようにする、という発想があります。家族が必ず顔をあわせるように建物をかたちづくるわけです。だとしたら、家族でもない、他人同士がひとつ屋根の下に暮らすシェアハウスなら、なおさら一度は顔をあわすように設計しなければならないのでしょうか?

みかんハウスでは、そうは考えませんでした。むしろ、こっそりと誰にも気づかれずに部屋まで帰ることができることこそ大事ではないかと考えました。シェアするのは楽しい!でも、疲れて帰ってくる夜だってきっとあるでしょう。今日はひとりになりたい、そう思ったときに、ちゃんとひとりになれる家であることも大事だと考えたのです。
なんだか寂しい話になってしまいました?暗い廊下をとぼとぼ歩いているように思われてしまったかも。でも、違うんです。ひとりにはなれるけれど、帰り道の「廊下」にはコモンスペースの灯りがもれてきます。だれかの存在は感じられる。声だって、料理の香りだって、玄関を開けた瞬間にあふれてくるかもしれません。そうした雰囲気に誘われて、コモンスペースの扉を開けたら、疲れた気分も吹っ飛んでしまうなんてこともきっとあるはずです。

「家族」の暮らしに必要なもの

「家族」の暮らしに必要なもの

みかんハウスは、家族でも暮らせるシェアハウスを目指しています。シェアハウスというと、ひとり暮らしの若者向けのイメージがあるかもしれませんが、シェアすることでうまれる暮らしの豊かさは、ひとり暮らしに限定するものではありません。
でも、家族で暮らせるって、どうすればよいのでしょう?

最初に考えたのは「広さ」です。例えば、ご夫婦とお子さんひとりならば、ひとり暮らしの部屋よりも広くないと無理ですよね。でも悩みました。ひとり暮らし用の部屋を二部屋組み合わせればよい、という発想もあるわけです。
次に考えたのは、「浴室」。子育てにおいては、こどもをお風呂にいれるのだって一苦労。いま!というタイミングでいれたいもの。他の住民とお風呂の時間を調整して…というのはちょっと難しいかもしれない。だから、専用のお風呂があるといい。
そんなことを考えていくことで、みかんハウスには、リビング・寝室・浴室・トイレがそろった家族でも暮らせる部屋を用意しています。

まちとつながるコモンスペース

まちとつながるコモンスペース

シェアハウスの肝はやっぱりコモンスペース。みかんハウスの特徴は住民だけのコモンスペースに加えて、パブリックコモンスペースがあること。暮らしがまちとつながり、住民だけの関係性では得られない出来事がうまれることを期待しています。

「パブリック」というと、公共施設が併設されているように堅い場所をイメージしてしまうかもしれません。でも考えているのは、暮らしの息吹が感じられる家の一部をそっとまちにも開くイメージです。
家だからこそのくつろぎがあるようにしたい。でも、まちに開かれるスペースでもある。まちのひとが使っている時にも、暮らしを阻害にしないようにもしないといけない。なにより、暮らす人にとって、ふだんは居心地のいいリビングでなければならない。「開く」ことと「閉じる」ことの両立が設計の大きな課題でした。
最初に考えたのは、二層案。1階をパブリックコモンスペースにして、吹抜けを介して、2 階のプライベートコモンにつながるプランです。階が分かれているので、開閉はしやすかったのですが、結局2階だけを使うことになってしまうのでは?という課題を抱えていました。
そこで、1階にまとめて、道路に近いほうをパブリック、奥をプライベートとする案にかわりました。日本家屋の表座敷と奥座敷のように、建具一枚で自在に変化するプランです。ときには広々とした空間を楽しみ、ときには閉じることもできる。ここからどんな出来事がうまれるのか楽しみです。

太陽も火も風も・・・気持ちよさが関係を紡ぐ

太陽も火も風も・・・気持ちよさが関係を紡ぐ

シェアハウスでは、なにをシェアしているのでしょうか?
キッチン、トイレ、お風呂…。まず思い当たるのは設備です。たとえば大きなキッチンは、ひとり暮らしでは手に入れにくいものだと思います。でも、それだけでしょうか?

みかんハウスでは、「気持ちよさ」こそシェアしたいと考えてみました。
コモンスペースにあるペレットストーブ。暖房のことを考えればエアコンでも十分です。でも、ストーブが灯す火は、暖かさ以上の気持ちよさをつくりだします。
気持ちよさは、家全体に広がります。たとえば、歯磨きしながら感じられる朝日だったり、木漏れ日がここちよい中庭だったり、陽だまりの廊下だったりするかもしれません。
みかんハウスに暮らす人には、自分なりの気持ちのよい居場所が見つかるといいなと思っています。